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04:学園祭当日
志麻くんと一緒に買い出しをしたあの日から、今日までの記憶はあまり無い。
「お化けの布どこやった!?」
「宣伝部隊出動しまーす」
「そこ破けてないか? 誰かガムテ持っておいで」
「スミセン急がないとお客さんくるよー!」
「先生のやる仕事じゃないだろ~」
校内はいつも以上に賑わいを見せていて、クラスメイトたちも忙しなく教室内を行き来している。
生徒に紛れた純部先生もこき使われていて、口先だけの文句と共に運ばれてきたガムテープを受け取っているようだ。
昨日のうちに施した装飾のおかげで、見慣れた教室はすっかり姿を変えていた。
暗幕カーテンによって一切の光を受け付けない真っ暗な室内は、小道具となっている懐中電灯が無ければまっすぐ歩くのは難しいだろう。
「千綿、いよいよだねっ!」
「わ、眞白……!?」
廊下でお化け屋敷の入り口の装飾を確認していた私は、背後から突然抱き着かれて驚きの声を上げる。
そこには予想通り眞白の姿があって、楽しそうな顔をしていると思った。多分、私だって似たような顔をしているのだろう。
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