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00:プロローグ
大好きな彼に嫌われるために、私はなにをしたらいいのだろうか?
「嶋ちゃん、おつかれ~!」
「おつかれ、学園祭あっという間だったね」
「千綿ってば、なーに終わりの空気出してんのよ。本番はこっからでしょ!」
校内に流れるアナウンスは、生徒たちの楽しげなお喋りによってかき消されてしまっている。
高校最後の学園祭は怒涛の勢いで終了してしまったけれど、彼らの学園祭はまだ終わっていない。
クラスメイトに挨拶を返して、散らかされたゴミをビニール袋に押し込んでいた私に、眉尻を持ち上げた眞白が詰め寄ってくる。
私より身長が低いはずなのに、その勢いに圧倒されて数歩ほど後ずさりをしてしまう。
「藤岡くんに告んなきゃ!」
「ま、眞白……! 声が大きい……!」
思わず彼女の口元を両手で覆って、周囲に視線を巡らせる。
幸いなことに、掃除もほぼ終わりかけの教室内では自分たちの会話に夢中な人間ばかりだ。眞白の大きな声も紛れてくれたらしい。
「ぷはっ。後夜祭なんて学園祭より短いんだから、もたもたしてる時間ないんだよ?」
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