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プロローグ
え……ここは…どこ?迷ったのかしら
逃げなきゃ!早く早く!村まで
曲がるところを間違えた?
後ろを振り返る余裕もない
必死で走った
雑草の生い茂る道なので、ザクザクと走る度に音がしていたのに、いつの間にかコツコツという音に変わっていた。
はぁはぁはぁ
慌てて後ろを見るが誰も追いかけてきてない
逃げ切れた…
息も絶え絶えに走るのをやめて歩き出す
足元を見ると草道ではなく固い道を歩いていた
固い道……絵画で見た街道とも違う黒っぽい道だ
もしかして山を抜けて隣国まで迷いこんでしまったのかもしれない
いつの間にか霧が出ていて周囲の景色が見えなくなってきた
どうしよう…
闇雲に動き回っても視界が開けそうにない。
立ち止まるとますます霧が濃くなり自分の身体さえ見えなくなった
どうしよう、どうしよう、どうしよう
怖い
ぎゅっと目を閉じて両腕で自分の身体を抱きしめるようにうずくまった
すると突然背後から突風が吹いてきて、前につんのめるように倒れこんだ
「痛っ!」
受け身が上手く取れずに、顔の左側を地面に擦りつけていた
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