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食事を終えた頃には、食で頭の中がいっぱいだった。
思い出してしまうといつまでも楽しかった思い出に浸ってしまいそうで怖い。
離婚した両親のたのしい思い出に浸ってしまったら、もう今の生活には目を向けられなくなる気がして――。
そう思いながら、みんながそれぞれの場所へと散る。
おばあちゃんは台所で食器を洗い、父は玄関に靴をしまいに。
私は部屋へと向かう。
片付け終わっていない荷物の整理をする。
不意に頭をよぎったのは、さっきおばあちゃんが作っていた夕食だった。
濃すぎない味付け、薄くない味付け。
微妙なラインで作られた夕食はおばあちゃんの雰囲気を纏っていた。
ただの食事なはずなのに、なぜか身に染みるものがあった。
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