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第1話『約束』
私にはおばあちゃんがいる。
私のおばあちゃんは怒るとものすごく怖い人だった。
だから、私の母はよく私に言っていた。
「近づくな」
と。
だから、私は今日までその約束をしっかりと守ってきた。
けれど、今日からこの約束を守れなくなる。
なぜなら、母と父が離婚したのだから。
母はおばあちゃんに近づくなと私に言いつけるほど自分が嫌いな人と娘を関わらせたがらなかった。
そんな母に対して父は真逆だった。
色んな人と関わって自分でいい人、悪い人の判断が出来るようになりなさい――といつも言っていた。
私に関する意見の違いが父と母を離婚させるに至ったのだ。
私が全部悪いに決まっている。
そして、今日父と母は離婚した。
私は父と母の離婚が嫌なのか嬉しいのか分からない。
母について行けばきっと母の操り人形になると思う。
父について行けばおばあちゃんと生活すると思う。
父と母のどちらについて行きたいかと聞かれれば、きっと私は即答で答えるだろう。
「お父さんがいい」
と。
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