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 秋風が吹き始めた頃の真夜中、白猫のマルは、エノコログサがぼうぼうに生えた庭に忍び込んだ。 (わあ。面白そうなところだぞ)  木製の塀に遮られて、外からはあまり見えなかったが、その庭はとても荒れていた。エノコログサを始めとする雑草が生い茂っているだけでなく、庭木の枝もかなり伸びている。 (よし、探索開始だ。わ~い!)  マルは、ワクワク気分で庭の中を歩き始めた。 (あ、なんかいるぞ)  雑草の根元に小さな虫がいた。おそらくコオロギだ。  マルは前足でちょんちょんとその虫をつついた。  ちょろりと、虫が逃げる。  マルは闘争本能を刺激されて、その虫に飛びかかった。  難なく捕まえることができたが、すぐに興味を失って放した。虫はこそこそ逃げていく。  マルには、この庭に来た明確な目的があった。  ネズミよりも大きなカエルが、ここにいると聞いたのだ。
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