伊織

1/5
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/52ページ

伊織

深夜、伊織(いおり)くんの部屋にいる。 「カエさん…寒くない?」 「大丈夫…」 伊織くんの口元は、私の耳のすぐそば。間接照明だけの部屋。 「…ん」 変な声出したくないんだけど… 伊織くんが耳触るから。シーツを握って声を抑える。 「…カエさん」 …ぼそぼそ言わないで。 「かわいい…」 恥ずかしいよぉ。 「カエさん、なんか…言って」 「い、伊織く…んっ…」 「声、我慢しないで?」 「や、声っ…うるさいんだも…」 キスされた。苦しい、伊織くん…なんで、なんでそんな余裕なの! 「カエさん、かわいい」 うう、恥ずかしすぎてどうしよぉ。 …は!ここは、伊織くんのベット。 うっかり寝てしまっていた。伊織くんも寝てる。…う、私、裸! 着替え、どこ?暗くてよく見えな… 「カエさん?」 腕を引っ張られて、伊織くんのもとに戻された。 「寒いよ?」 「服、着たい」 「あ、そうだった。電気つける」 あ、そうだよ。普通に電気つけたらいいのに、ぼんやりしちゃってた。ぶら下がってたヒモを伊織くんが引っ張ると明るくなった。 「カエさん、かわいい」 え? なん、で抱きつかれたんだろ?なぜ後ろから。 ん? 「綺麗」 え、え、それは私の胸ですが、伊織くんの手が触っ 「や、だめ、見たら…」 「なんで?まだ恥ずかしい?」 「…だめなの」 「でもカエさん。暗いとよく見えない。もっと見たい」 「だめ…伊織く」 顔近づけるとか… 「かわいいね、カエさん」 恥ずかしいけど、力は使おうと思わないし、無意識でも使ってない。 嫌じゃないっこと?わかんない… 「み、見過ぎだってば!」 「カエさん、ちゃんと見せてよ」 「もー!だめ!着替える!」
/52ページ

最初のコメントを投稿しよう!