will you marry me?

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「本当に頼むから俺のこと信じろよ……。捕まえられてよかった」 安堵したように聞こえる声に、とうとう涙が零れ落ちる。 暖かな腕の中が嬉しくて、やっぱり謙太郎さんは温かくて。この腕に嘘はないと思える。 「どうして瑠菜といたんですか?」 腕の中で涙声で尋ねると、心底嫌そうな声が聞こえる。 「菜々のことでどうしても話があるって呼び出された。そしたらいきなり抱きつきやがって」 「じゃあ、瑠菜とは何もないんですか?」 「何もない。信じろ」 きっぱりと言い切った彼に、私は彼の目をみつめていると、不意に気配を感じた。 「ちょっと、ふざけないでよ」 血を這うようなその声に、私たちはその方を見た。 「私のどこかお姉ちゃんより劣るっていうのよ! お姉ちゃんどんな手を使ったのよ」 初めて自分に落ちなかった彼に、怒りむき出しで瑠菜が私に怒鳴り声をあげた。 「すべてだ!」 私の肩を抱き寄せ、謙太郎さんは瑠奈に向かって怒鳴りつける。
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