キスマーク

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まるで自分は関係ない、そんな口ぶりの課長にカチンときた。 「だ、誰かさんが夜寝かせてくれないから、朝起きられないんです」 「ちゃんと俺は起こしてやっているし、最大限寝られる時間まで寝かせてやってる」 「うっ」 確かにそれは、そうなんだけど。 朝食の準備ができた状態で起こしてくれるし、なんなら、私が食べている間に髪もセットしてくれる。 しかも自分が通勤する車に乗せてくれるから、その間も寝られる。 「で、でも付けたのは一ノ瀬課長なわけで」 「俺が悪いっていうのかよ」 「うっ」 そのかけている、スクエアのブローチックなメタル眼鏡の奥から視線で射られれば、身が竦んだ。 「ちゃんと確認しないお前が悪い」 いや、そういわれればそうなんだけど。 毎回、課長にキスマーク付けられるのはわかっているわけだし。 でも、目立つところに付ける彼も悪くない? 「で、でも」 「お前が俺に逆らおうなんて百年早い」 じわじわと涙が浮いてくる。 いつもそうだ、俺様で、私の言うことなんて無視する。 なんで私、こんな人と付き合ってるんだろ。 口説いてきたのは向こうの方から。 六つ年上で上司。
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