26人が本棚に入れています
本棚に追加
/218ページ
ようやく林を抜けた。
そこには......。
大木を4本を囲った家があったが、川は無かった。
「まさかそんな......僕が来たときにはあったのに!」
「俺も、夢でみたときは流れていた。
夢の中では、何度もここでギョウと会話をした。
大小の岩の位置まで全部、同じだ。ただ川が無いだけだ」
「ミカゲさん、夜城さん、どういうことなんでしょうか?」
真昼が強く花束を抱きしめた。
「推測だけど、水の神様に見捨てられたんじゃないかな?
あの墓山での戦闘にしても、ギョウに味方しているような感じは、
あんまりしなかった。むしろ勝手に怨霊の手の内に入り込んで、
引っ搔き回して、しまいには山の神まで怒らせた......。
真昼さんのいる前で言うのも申し訳ないが、水の神は、二百年を
生きる罰とかスッ飛ばして、入方そのものを切り捨てた。
そういう気がする。だからアカツキとギョウの命は捨てられたと」
「そう、ですか......。
だけど、夜城さんの言う通りだとも思うんです。
お2人は長生きできた。そのおかげで私も出会えた。
それで、それで、もう良いと思います。そっと眠らせるべきと」
愛媛の旅からここまで。
真昼にとっては辛い旅だったろうが......。
真昼にとっては超えるべき旅だったのだと思う。
最初のコメントを投稿しよう!