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ジーンズのベルトを外され、ファスナーを下ろされた。 そして、下着をずらそうとした。 「うぅ――っ!うぅ―っ!」 「静かにしろよっ」バシッ 「グッ」 頭上近くの男に頬を殴られ、体を押さえつけられる。 嫌悪感と羞恥心で涙を流しながら、身を捩り、足をバタつかせても、足元にいる男に体を殴られ力が入らない。 下着ごとジーンズを脱がされ、下半身を晒された。 「いい眺めだね?香坂くん?」 「うわ、エロかわっ」 足元の男に僕の両脚を開くように持ち上げられ、男の両脇に抱えられた。 体中の毛が逆立つ! 「うぅ――っ!、んっ、んんっ!」 叫ぶように唸るしかできない。 嫌だ!触らないで! イヤイヤと頭を横に振っても意味はないのはわかってる。 だけどこれ以上触られたくない! 嫌だ! 「香坂くん、萎えてるじゃん。気持ち良くしてやるからね?」 男が僕のペニスに手に触れようとした。 もう駄目だと目を瞑り半ば諦めかけた時に――… ビイィビイィビイィビイィ… 廊下から防犯ベル?が鳴り響いた。 一斉にドアの方に視線を送る。 「なんだ?ちょっ、田村っち、写真撮ってないで見て来いよ」 「おれたち、手が離せないしなぁ?」 「…しょうがないな」 飽きれたように田村は椅子から立ち上り、スマホを机に置いてドアまで歩いた。 カチャリと鍵を解除し、ドアを開けた瞬間、「ひっ」と驚きの声をあげたと同時にボフッという音と「ぐぁはっ」っと言って田村は床に転がった。 転がる田村の腹を脚で蹴り上げ、睨み付ける響さんと篠木、翔太が居た。 視線をこちらに向けた響さんは怒気を露にしながら近付く。 「お前ら全員殺す」 僕を触り続けた男たちは、血の気が引いたように顔面蒼白で息を飲んで固まっていた。 呆気なく一発で倒れ込む男たち。 「遅くなってごめん」 そう言って口に入っていたタオルを取り、着ていたジャンバーを脱ぎ僕の下半身にかけ、両手の紐を解き、僕を抱き締めてくれた。 ドラマやマンガならヒーロー登場で、悪者を退治して、めでたし、めでたしだ。 だけど現実はそうとは限らないと思っていたのに、ヒーローは存在した。 「助けてくれて、ありがとう」 ギュッと僕も響さんに抱き締め返した。
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