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スノボ旅行
高校を卒業したばかりの奈緒と響は、響のバンド仲間やその家族と一緒にスキー場に来ている。チェックインの時間まで、二人はスノボを楽しんでいた。
〜〜〜
「え……セリナさん。いいんですか? 二人で使っても……」
部屋割りを確認すると、奈緒と響は二人で一部屋になっていた。響は何かの間違いだと思い、セリナに確認した。
「なんかねー、部屋割りを考えてたらこうなったのよね。二人を他の部屋に入れても良かったんだけど、そうすると一部屋余っちゃうし。ま、卒業入学祝いってことで。せっかく彼女と来てるんだし、ゆっくり過ごしな」
今回は、セリナの彼氏が勤めている会社が管理しているリゾートホテルを借りての旅行。一部屋で最大八名は泊まれるほどの広さの部屋ばかりで、そこに二人だけで泊まらせてもらうことに、響は躊躇った。
驚きを隠せないのは奈緒もそうだった。先に、響の父や兄たちが泊まる部屋を覗かせてもらってから、さほど変わらない広さの部屋に入ったからだ。
「え? 私たちもこのサイズの部屋なの? なんか、申し訳ないよね……」
「うん……それに、二人だと持て余しちゃうな……」
ひとまず部屋全体を見て回ると、寝室が三部屋あった。リビングや小さいキッチンも付いている。
そして、自分たちの荷物を整理して、雪で濡れた帽子やグローブなどを風呂場に置き、乾燥機を付けた。
「さて、お風呂に行ってみようか」
###
ひーちゃんと一緒にお風呂に入るのは初めてだから緊張する。修学旅行のあの件以来だから余計に。でも今は恋人同士だからね。恥ずかしいとかいう問題じゃないんだろうね。それに、私たちっていうか……ひーちゃんにはもう、私の体を触れさせてるから。たぶん、これからはもっと凄いことする関係になるんだろうし……。
「澤村、何してんの? 先に入ってるよ」
いけない。変なこと考えてたら、遅くなっちゃう。ひーちゃんは全く恥じらいなく服を脱いで、大浴場に入ってしまった。
それにしても、ひーちゃんの体って相変わらず引き締まってるね。余計な脂肪が付いてない感じ。お腹にも縦の線が入ってるから、すごい。
「ねー、ひーちゃん。体鍛えてるの?」
「ううん、別に。普段からそんなにご飯食べないからじゃない?」
食べないのに体力はあるって不思議。いや、筋トレぐらいはしてるだろうね。ライブするのに体力は必要だろうから。
「澤村? のぼせた?」
高校の修学旅行でのぼせて倒れたっていう私の印象が強いのか、ひーちゃんは黙っている私を気にかけた。っていうか、これはからかわれてるのかな。
「大丈夫だから! はあ、気持ちいいね」
私は湯船から体を出して、浴槽のふちに座った。ひーちゃんも同じように、私の隣に座った。
「なんか、澤村見てるとムラムラする」
耳元でひーちゃんがそんなことを囁くから、私はまた真っ赤になった。別の意味でのぼせそう……。
私はひーちゃんの肩をバシッと叩いて、露天風呂の方に移動した。外に出れば、少しは体を冷ますことが出来ると思ったから。
ひーちゃんも、ニコニコしながらついて来た。
「澤村って身長いくつだっけ?」
「162cmぐらいだったと思う……」
「ちぇ、あまり変わらないかと思ったら、私より高かったか」
「今舌打ちした? ひーちゃん何センチ?」
「156」
「そんなちっちゃいの?」
「瑛里華は158ぐらいだったから、澤村はそれより大きいのか……」
「でもひーちゃんって、小ささをあまり感じさせないよね。オーラがあるからかな」
改めて身長を聞くとびっくりするけど、ホントにひーちゃんって小さいっていうイメージ無いんだよね。
足だけお湯に入れてた私たちは、もう一度温まろうとお湯に入り直した。
すかさずひーちゃんが私の腰に手を回した。
「ちょ、ちょっとひーちゃん……近い……」
「いいじゃん、旅行なんだし。今度二人でどこか行きたいね」
「うん……」
湯けむりに隠れて結構大胆なことをしてる。このままキスされそうなぐらい近づいてるけど、やっぱりここではしないらしい。
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