第82話 駆け付けるリアーナとフィリア

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第82話 駆け付けるリアーナとフィリア

───そのとき、デビット宰相が働かせた五感の読み通り、女性2人が小場所に駆け付けて来た。青い長髪の剣士の女性と緑色のおかっぱ髪の女性魔導師だ。  デビット宰相はロングソードの鞘に手を掛け、戦闘体勢を整える。 「誰だ、君達は?」  デビット宰相は妻と息子を庇うように凄まじい威圧感を放ち、尋ねる。まさか………さっきの貴族派が差し向けた新たな刺客だろうか?………。と、敵を視るような鋭い視線を突き刺す。 「待って下さいっ!!私達は敵ではありませんっ!!」 「そうです、ホセ・ヨハーソン伯爵に頼まれて来たのですっ」  デビット宰相の凄まじい威圧感に身体が本能的にビックリし、青い長髪の女性剣士と緑のおかっぱ髪の女性魔導師は慌ただしい姿勢で説明する。 「ホセ・ヨハーソン伯爵だと?………」  ホセ伯爵の名前が出た途端、デビット宰相は反応。 「はい、予定時間になっても町に到着しないので、伯爵様がギルドに依頼して捜索しにきましたのでありますっ」  と、緑のおかっぱ髪の女性魔導師は宰相の威圧に額から汗を流して困惑し、両手をぶんぶんと振って言った。 ───1秒、2秒、3秒………デビット宰相は、再びが敵か味方かどうか………と、凄まじい睨みを利かせ、分析する。    青い長髪の女性剣士、緑のおかっぱ髪の女性魔導師に緊張状態がピリピリと張りつめる。デビット宰相の力量は、2人は本能的に分かる………この人は強い。と………。  デビット宰相はロングソードを鞘から手を放し、彼女達は貴族派の手先ではないと判断し、気持ちを落ち着かせる。 「そうか、疑って悪かったな………」  デビット宰相は言った。 「いえ、突然この場に駆け付けたのはこっちですから無理もありません。あなたの事はホセ伯爵から聞いています、エストラーダ帝国のデビット・アーウィング宰相」  青い長髪の女性剣士は言った。 「私の名前を知っているのは光栄だ………よろしければ君達の名前を聞いてみて良いかな?」  デビット宰相は先程の凄まじい威圧とは裏腹に、親しみやすい表情を浮かべる。 「はい、冒険者ギルド・ルシアン領支部所属のリアーナ・リナレスです」 「同じく冒険者ギルド・ルシアン領支部所属のフィリア・ルグインと言います」  2人は自己紹介する。先程とは違うデビット宰相の親しみやすい雰囲気にホッとした気持ちになる。 ───そして、リアーナとフィリアは宰相家族が乗る馬車をフェリの町まで向かい、夕方手前の森林地帯の道を進み、夕方になれば一部のモンスターが活発になる為、大変危険であり、護衛と案内を兼ねている。      
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