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「遼、ごめんな。まさか来てくれてたなんてさ」
車中では鐘崎にしっかりと肩を抱き寄せられながら紫月がすまなさそうにしていた。
「いや――ヤツに会ってみろと言ったのはこの俺だ。俺の方こそおめえを囮に使うような真似をしてすまないと思っている」
「囮だなんてそんな……」
「俺が同席しても良かったんだが、それだと尻尾を出さんだろうと思ったのでな。あの男――三春谷が単なる先輩への憧れや懐かしさでお前に会いたがっているなら寛容にもなろうというものだが、万が一邪な気持ちを持っているなら早い段階で知っておくに限ると思ったんだ。だが結果的におめえには嫌な思いをさせてすまないと思っている」
「嫌な思いだなんて、そんなことはねえって。第一、橘や春日野がしっかり見ててくれてさ。その上、源さんや清水の剛ちゃんまで付いてきてくれるなんて……皆んなを煩わせちまって申し訳ねえなって」
鐘崎としては当然の配慮だ。
「実はな、紫月――。この前ヤツを銀さんの居酒屋から乗せたタクシーだが、あの後運転手の健治さんからわざわざ報告があったんだ」
「健治さんから?」
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