第二十章 遊ぼうぜ 五

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 それは間違っているだろう。俺は、英トの親にも近い年齢だ。 「嫌だ」 「三歳児」  しかし、それは決定事項で、俺は四乃守の末っ子になっていた。 「医師免許は、一族の必須アイテム。これで、治療という名目で、情報収集と実験が可能」 「マッドサイエンス?」  だから、俺は通常社会で医師免許のとれる最少年齢に設定されているが、裏社会では三歳児の登録になっていた。 「いや、せめて七歳だ」 「遺伝子の摩耗で年齢が決定する。夏目は、一歳にも満たなかった。無限再生かと思ったが、成長はしているので、一族会議で三歳にした」  俺は、必死になって七年間を生きてきた。だから、せめて小学生にして欲しい。 「七歳」 「三歳でも、裏社会では学校に通える。まあ、七歳児に譲歩してもいいけれど……登録は、何度も変えられないから我慢しろ」  そして、英トも復学するが、大学院生で菊花には戻らないという。 「それから夏目。改めてお願いします、珠緒を守って」 「それは、承知した」  珠緒は、俺も守りたい。なんだか、とても珠緒が可愛い存在に思えて、愛おしいのだ。それに、珠緒は俺を多分、ペットのように思っている。  今も珠緒は、俺のマフラーを引っ張り、英トから奪おうとしていた。 「英ト、夏目ちゃんは、俺の友人。そんなに親しくしないで」 「分かった」  英トも、珠緒には逆らえない。  俺は、この学園に暫しいる事となった。 EIGHT 了
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