13人が本棚に入れています
本棚に追加
/168ページ
その時、ブブブとスマホのバイブ音がして松田がブレザーのポケットからスマホを取り出した。
画面を確認し、こっちにも見えるように画面を向けた。
『 ママ 』
着信を示す画面に浮かんだ文字に、萌香がハッとしたように言った。
「今何時?」
俺は自分のスマホを確認した。
「…8時だ。」
いつの間にかそんなに時間が経っていたんだ。
「どうしよう。きっと萌香の帰りが遅いから心配してるんだと思う。」
萌香が慌てた様子で言った。
「おい、どうすんだこれ」
松田は萌香のスマホを突き出して言った。
「松田先生、とりあえず出てください!うちのママすごく心配性なんです。萌香は今この声だから出られないし…」
「ええー、えっと…」
松田はスマホの操作に戸惑いながらスピーカー設定にして電話に出た。
「も、もしもし?」
『萌香ちゃん?今どこにいるの?』
スマホのスピーカーから萌香のお母さんの声が聞こえた。
「あー、えっと、学校?」
『えぇ?まだ学校にいるの?何してるの、こんな遅い時間まで』
「あー、あのーえぇーっと」
慌てる松田は俺達の方を見た。
「「勉強!テスト勉強!」」
俺と萌香は小さい声で松田に言った。
「あぁ、そうだ!勉強。勉強してたんだ!」
松田が辿々しく言った。
『あら、そうなの…』
「そーそー!来週テストだからな!」
『…萌香ちゃん?なんか喋り方変じゃない?』
やばい!!
俺達は顔を見合わせた。
母親ってなんでこう勘が鋭いんだろう。
最初のコメントを投稿しよう!