ありがちな、ただの恋

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響花(おとか)、こんなに酔っ払っちゃてさぁ。大丈夫?」 「へーきへーき。さあ!二次会はカラオケに行こうー!」  大学の文芸サークル恒例の親睦会。居酒屋の一次会から響花は飛ばしていた。  誰が見てもはしゃぎすぎ。きゃーきゃーうるさいの何の。  ビールをジョッキで五杯、次はワインをボトルで頼んで、僕も少しは付き合ったが、ほとんど彼女ひとりで飲んでしまった。  響花は酒に強い。飲み比べをしたら男でも負けるだろう。普段の彼女は明るい元気印の女子大生だ。男子の間で密かなファンも多い。僕もそのうちの一人だった。  でも…今日はなんだか様子がおかしい。いつもよりペースが早く、タガが外れてしまった感じがする。  それに、元気に見せているけれど、僕は空回りしているように感じた。他の部員は気づかないようだ。  強引な響花によって二次会はカラオケになった。しかしさっきまで大はしゃぎしていた響花は、カラオケボックスに入って踊りながら一曲歌ったあと寝てしまった。  響花の面倒をみていた女子部員が僕を手招きする。彼女は響花の親友だ。  …何だろう。  彼女は僕に、外へ、と目配せした。
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