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帰りは大吉も玄関まで見送りに来てくれた。
全身から哀愁を漂わせながら、おとなしく座っている。私でも帰りたくなくなるんだから、悠真はそれ以上なんだろうな。
「気を付けて帰るのよ。莉帆さん、また遊びに来てね」
「はい。ありがとうございます」
「見送りはここまででいいから大吉と遊んでやって。じゃあな、大吉。また来るからな」
本日何度目かのわしゃわしゃタイム。
本人達はツラいだろうけど、相思相愛だから見ていて微笑ましい。
「莉帆、あっち見て」
「え?」
玄関アプローチを歩いていると、悠真が突然指差した。そこにはカーテンの隙間から顔を覗かせている大吉の姿。掃き出し窓の下の方に鼻をくっつけている。
「ドアが閉まるとあそこまでダッシュしてるんだってさ。可愛いだろ」
「うん。悠真めっちゃ愛されてるね。いいなぁ、私も大吉に愛されたい。何が好きなのか後で教えてよ」
今度来る時は大吉にもお土産持ってくるね。
お父さんとお母さんに「素敵な笑顔のお嬢さん」って言われたのは、大吉がいてくれたからだと思うんだ。
「お、莉帆も大吉の魅力にやられたか」
「もうメロメロ」
今日は一緒に話を聞いてくれてありがとう。
また会おうね。
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