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1.愛の加速がとてつもないことになっております。
「レナード、幸せです。愛しています」
私はずっと思い焦がれていたレナード・アーデン侯爵と結婚した。
もう、結婚して13年目だが日々私は彼に惹かれている。
初めて彼を見た時、おとぎ話の王子様のような姿に釘付けになった。
今でも、あの時と変わらぬ姿、彼は年を取らない本当の王子様なのだ。
「ミリア、私のたった一人のお姫様⋯⋯」
レナードの優しい香りに包まれる、彼の甘い声が好き。
彼が私を思いっきり抱き寄せて、脳が蕩けるような口付けをくれる。
膝がガクガクしてきて、立ってられなくなりそうになるのを彼が支えてくれる。
私は思いっきり背伸びをして彼の首にしがみついた。
「はぁ、はぁ、レナード、これ以上あなたを好きになるのが怖いわ。もっと、私を強く抱きしめて」
彼はいつも宝物を扱うように優しく抱きしめてくれるけれど、今はそれでは足りない。
骨が折れるくらい強く抱きしめて欲しい。
「ミリア、そんなことを言ってくれるなんて嬉しいです。私ばかりあなたを思っていると思っていました」
レナードの瞳に彼にときめき続ける私の惚けた顔が映っていて少し恥ずかしくなる。
彼が私の願いを聞き入れてくれるように、私を少し強めに抱きしめてくれた。
「足りないわ。レナード。もっと骨が折れるくらい強く私を抱きしめて離さないで」
私は思い切り彼を強く抱きしめ返した。
「お父様、お母様、ただいま戻りました。お母様、お父様が本気になれば本当に骨が折れますよ。あの最近2人の愛の加速がとてつもないことになっているところ、言いずらいのですが⋯⋯」
エレナが皇宮から帰ってきた。
彼女は12歳で皇帝になったアラン皇帝陛下と婚約した6年前から皇宮に部屋を貰っている。
寂しいことに、この6年はほとんどそちらの部屋で暮らしていてほとんどアーデン侯爵邸には戻ってきていない。
「エレナ、お帰りなさい。あなたの願いならなんでも聞くわ。ぜひ、何でも言ってくれる?」
そういえば前は周りの使用人の目が気になっていてレナードと触れ合うのは夫婦の寝室だけにしていたのに私はどうしてしまったのだろう。
カルマン公爵家が粛清する前は自分の存在が彼に迷惑がかる可能性がいつも彼への気持ちのブレーキになっていた。
それがなくなってしまい、私は自分の気持ちをまったく抑えられなくなっている。
レナードは私が望めばこたえてしまうのだから、アーデン侯爵夫人として私が貞淑さを忘れないようにしなければ。
周りの使用人が気がつけば、私とレナードを目を輝かせて見ている。
当然だ、私が使用人でも王子様のようなレナードのラブシーンがはじまれば手を止めて凝視してしまう。
彼らは何も悪くない、悪いのはレナードを見ると気持ちが抑えられず彼にしがみついてしまう私だ。
「帝国の要職試験をレオのお母様が受験に来ます。帝国の要職になれれば、住居だけでなく子供の教育も全額帝国が負担することになっています。おそらく、彼女はレオにより良い教育を受けさせたいがために試験を受けにきます。しかし、レオは8年の私の観察の結果アランレベルの天才の可能性があります。既存の教育を受けさせるよりも、アーデン侯爵家で彼を引き取り事業を自由にやらせたり実務的な仕事をした方が良いです。だから、養子の話を持ち掛ければ彼女はレオを引き渡す選択をすると思います。そこでお願いなのですが、彼は10歳の男の子です。私はお2人のラブラブな様子を微笑ましく見ておりますが、10歳の男の子には刺激が強いと思われます。なので、共用スペースでの触れ合いはもう少し控えめにして頂けると助かります」
エレナの言葉に私は思わずレナードの顔見た。
彼は私に微笑んでいるけれど、その碧色の瞳には顔を真っ赤にした私が映っていた。
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