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「ねぇ、天文部主催の星空観測会、行かない?」
親友の瑞希にそう誘われたのは、七月が始まったばかりの水曜のことだった。わたしは瑞希の言葉の勢いにつられて、うんと頷く。
「やったぁ」
一人飛び跳ねる彼女に、わたしはもう一度聞き返した。
「え、星空、観測会?」
「そ。学校の屋上で、望遠鏡使って夜空を観るの」
「いいねぇ。いつ?」
「七夕の夜だったかな」
頭の中で部活の予定表を確認。七月七日は……うん、確かオフだった気がする。
「ん、部活もオフだし行けるよ」
「いぇーい」
瑞希はわたしに向かって満面の笑みとピースサインを向けた。
彼女とは今年始めて同じクラスになった。わたしがバドミントン部で、元一年六組。瑞希は演劇部で元一年八組。クラスも部活も違かったわたしたちは、全く接点のないまま高校一年生を過ごした。そして今年の春、初めましてだったはずのわたしと瑞希は新クラス初日から二人して大遅刻をするというアクシデントを起こし――今では、こんなにも仲良くなっている。
「じゃ、二人分申し込みしとくね」
笑顔のまま、喜びのあまりくるりと一回転する瑞希。わたしはその様子に笑いながら、「頼んだよ」と返事をした。
星空観測会。ふふ、楽しみ。
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