第二十五章 かけがえのない明日へ

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 二人そろって屋敷のダイニングで昼食を済ませた後、伊織はすぐに駿の部屋へやって来た。 「伊織さん?」 「駿、シャワーを浴びてきてくれないか」 「はい……?」  普段なら『シャワーを浴びてきたまえ』と来るはずだが。  彼は駿に、自分への呼称を『伊織さま』から『伊織さん』に改めるよう、求めた。 (だから、ご自分の言葉遣いも、改められたのかな?)  そんな風に考えながら、部屋に設けられたバスルームでシャワーを浴びていると、静かにドアが開いた。 「え! い、伊織さん!?」  そこには、生まれたばかりの姿の伊織が、立っていた。 「駿。君は今、発情期かな? やけに私を誘ってくるね」 「そんな。お薬は、ちゃんと飲んでます!」 「薬も効かないほどの、フェロモンか。今度、医師に告げて、調合を強めてもらわなくてはな」  素裸の伊織は、背後から駿を抱きしめた。 「伊織……さんッ」 「私は、もうこんなに昂っているんだよ」  伊織は、駿の双丘の谷間に、硬くなったペニスを擦り付けた。 「あ、あぁ。んッあ。だ、ダメです。こんなところで……ッ」 「そうかな? 駿も、随分いい具合になっているようだけど?」  腰を擦り付けながら、前に手をやる伊織。  彼の手は、するりと迷いなく駿の性器を掴んだ。 「い、いけません!」  拒みながらも駿の後膣は息づき、伊織の分身を呑み込もうと脈動している。 「本当に? 本当に、いけないことなんだろうか、これは」  甘く囁く伊織の口が、駿の耳を優しく食む。 「卒業祝いが、たくさん届いていたな」  天宮司家に所縁のある人間から、花や贈物、電報が山のように届いていた。  だがしかし。 「私は、駿からの卒業祝いを、まだ受け取っていないんだよ」
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