一章

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その言葉にゾッとして全身に鳥肌が立った。 リリアーヌとずっと一緒にいるなんて死んでもごめんだ。 そう心が叫んでいた。 「リリアーヌは優しいんだな」 「…………」 「ありがとうございます。ディオン様」 「それに比べてコレットは……」 当然のようにリリアーヌとコレットが比べられて、コレットが悪いと責められるのはいつものことだ。 (それに比べてコレットは……?あなたにだけは言われたくない。もう、この男と一緒にいるのはうんざりだわ) コレットは怒りと悔しさから手のひらをグッと握る。 「コレットお姉様は〝可哀想〟な人だから、わたしもお姉様を許すわ」 「リリアーヌの優しさに感謝したほうがいい。それから己の身のふり方に気をつけるように。伯爵家を継げないお前に口を出す権限はないんだよ」 その言葉を聞いた瞬間、コレットの中で何かが壊れた。 * * * コレット・ミリアクトには病弱な妹がいる。 それがリリアーヌ・ミリアクトだ。 プラチナブロンドの髪に宝石のような金色の瞳。 いつもベッドで寝ているからか、真っ白な肌に細い体。 じっとしていれば、まるで人形のように見えるリリアーヌ。
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