一章

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美しくて弱い……そんなリリアーヌを両親はとても可愛がっていたように思う。 コレットもリリアーヌが生まれてからずっと彼女を気遣ってきた。 外にも行けず、令嬢とのお茶会にもパーティーにも出席できずにずっとベッドの上にいるリリアーヌをコレットは『可哀想』だと思っていた。 だけどいつからだろうか。 その『可哀想』が『羨ましい』に変わったのは。 コレットに物心ついた時からリリアーヌはお姫様扱いだった。 両親は病弱なリリアーヌにつきっきりだった。 コレットは両親と過ごした時間よりも侍女や講師達と過ごした時間の方が長いだろう。 幼い頃は仕方ないと思っていた。 リリアーヌは体が弱いから、と。 だけど周りが見えてくるにつれてコレットの心境に変化が訪れる。 リリアーヌが羨ましくて仕方ない。 けれどそう考えてしまう自分に罪悪感すら抱いていた。 (リリアーヌは病気だから仕方ないの。わたくしが我慢しないと。リリアーヌの分までがんばらないと!) しかし両親はそんなコレットの気持ちをどうでもいいと言いたげに踏み躙る。 両親は健康で元気なコレットにキツくあたった。
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