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手が机にぶつかった衝撃は机の中央に置かれたペンを転がすほど大きなものではない。それに時差もある。
「――……っ!」
改めて恐怖が私の身を襲う。
私はフセンとペンの回収すら忘れて慌ててカバンを抱えると、来た時と同じように四つん這いになって机の下へと身を潜らせた。
無我夢中で進んだが、机の下に広がる迷路から出るのはすぐだった。
誰にも発見されないよう理科室を出て、家へと向かう。
運良く誰にも会わないという現実がさらに私を恐怖へと誘ってくれた。
「招かれてた?」
と、不安のあまりそう呟くが、それを聞くのは誰もいない。
「そんなわけないよね」
まるで全てが都合の良いように回っているようで、それがとてもとてもイヤだった。
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