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離れ
窓には相変わらずカーテンがかかっていた。
コンコン、とノックをしても返事はない。ないが、人の気配がした。
「サツキ、昼飯ありがとうな。うまかった」
そこで息を吸い込む。
「こないだはじいちゃん言い過ぎた。ごめんな。
つい余計なこと言っちまった。サツキの人生なのにな。
でもじいちゃんも、ばあちゃんも、お父さんもお母さんもお前のこと心配してるんだって、それだけ覚えていてくれ。いつでも力になる。
――あとな、さっきのサバゲ―、上手だった。それだけ言いたかったんだ」
じゃ、と言って去ろうとした時。
「おじいちゃん……」
ドアが開いた。
「どうしてわかったの?」
サツキの目には、いろんな感情が浮かんでいた。驚きと、不安と、少しほっとした気持ちと、全部が混ざり合って、どうしたらいいかわからないと思っている、そんな目だった。
ガキの頃俺も、こんな目をした日があったのだろう。自分が気づいていなかっただけで。
だから安心できるように、俺は笑顔を見せた。
「わかるさ、そのくらい。じいちゃんなんだから」
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