序章

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序章

 泰政(たいせい)歴元年、六月二十日。  長く続いた梅雨も過ぎ去り、夏の熱気に包まれた瑞国(ずいこく)は平常とは打って変わり異様な雰囲気に包まれていた。(いこ)いの場として計設された広場を中心に、数多くの国民が集い、何かを一心に見つめていたのだ。  その群衆に共通点はなく、役人の姿もあれば商人の姿もあり、母の腕に抱かれた赤子もいれば、腰が曲がった老人もいる。  ——否、一つだけ共通点があった。  誰しもがその眼差しを好奇心に染め、を一心に見つめていた。
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