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葦原美優はスマホのアラーム音で目を覚ました。色白の韓国アイドルの写真が貼られたロック画面。その上に浮かび上がる白い数字は「8:15」。
「やば、遅刻じゃん」
美優はベッドから飛び起きて、急いでパジャマを脱ぎ捨て、いつもの制服に着替えた。バッグにノートとプリント、筆箱を詰め込んで背負い込み、寝癖を手持ちのブラシで整えながら階段を駆け降りていく。
「美優? 朝ごはんは?」リビングから母が声を掛ける。
「いらない! 遅刻だから行ってくる!」
後ろを振り返らずに玄関を飛び出す。
学校は8時半に始業する。美優の家から高校までは歩けば15分掛かる。家を出たのは8時17分、つまり走らなければ間に合わない。
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