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次の発情期が来たが、雪兎は今までのようにひとりで我慢することはなくなった
寝室で、先程からせっせと何かを作っているのを見て、俺はひとりリビングで呼ばれるのを待つ
わかってたとはいえ、せっかくの誕生日と重なってしまって、何処にも連れて行けないのだけが悔やまれた
「士郎さん、こっち来て?」
少し赤くなった顔で扉からひょっこり顔を出す姿に笑みが溢れる
ベッドには色とりどりの服が並べられ、まるで大輪の華が咲いているような、綺麗な巣が出来上がっていた
その真ん中にちょこんと座って両手を広げる姿に愛しさが込み上げる
「士郎さん、誕生日プレゼントをください。士郎さんを、僕にください。」
少し照れくさそうに笑いながら言う雪兎を抱きしめ
「雪兎、23歳の誕生日おめでとう。俺の全部、雪兎のものだよ。ずっと、永遠に雪兎だけを愛しているよ」
初めて番で入ることの出来た巣で、しあわせそうに抱き締め合い、愛しい人の誕生日を迎える
今までずっと我慢していたことも、やれなかったことも、2人一緒ならそれだけでしあわせなのだから。
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