密命

4/5
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/233ページ
「いえいえ、もう、高橋くんには全幅の信頼を置いておりますの。  何せ私、無類(むるい)人嫌(ひとぎら)いなものですから、それで海外に居を移しておりました程ですの。  でも、高橋くんがいらしてから心が変わりました。高橋くんでなければ、きっと私は帰国してはおりませんでした」 「へぇぇぇぇ。そんな事ってあるんですね」  何か高橋さんも私の肉を一口お食べになって、意外な特殊能力を得られたようですねぇ。 「で? 俺にはどうしろと? 」 「井田さん、危生処隊は今回、『葦原班(あしはらはん)』と言う特殊な独立別働隊(どくりつべつどうたい)を組織することになりました。  政府や防衛隊主導の対策本部とは完全に別個に行動する部隊です」 「何? 米良さんが言ったの? 」 「はい。責任は米良さんが取って下さるそうです」 「へぇぇ、おっさんやるじゃない。何してもいいの? 」 「そりゃぁ内容にもよりますが、それで帝都を護れるなら。  (ただ)し、ヘドロゲンを傷つけるのはご法度(はっと)です。  折角(せっかく)、元に戻りつつある田部ヶ島の生態系のバランスを崩さない為にも、『A』には大人しく帰ってもらいます。  我々はその為に組織されました。どうです? 一緒にやりませんか? 」 「一緒にっつったって、俺に何が出来るかい? 」 「さぁ、それはご自分で考えて下さい。  一つ言えることは、僕も葦原班長も米良さんも、あなたが必ず役に立つと考えている。  どうです? 他に理由いります? 」
/233ページ

最初のコメントを投稿しよう!