第十五章 消毒

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 最後に大椰が隠しカメラの方に近づき、聡美の純潔を踏み荒らしたばかりの邪悪なものが生々しくアップで映され、僕は思わず顔を背けました。映像はそこで終わり。でも僕の怒りはそこから始まりました。  僕が聡美の貧乳を馬鹿にしていたと聞いたことが永野大椰が彼女を落とした決め手になった? 聡美が胸の小ささに劣等感を感じていたことを僕は知っていたし、それについてどうこう言ったことはありません。むしろ、今度の女は貧乳だと教室で馬鹿にしていたのは茶道部の連中の方です。あのときはまさか聡美のことを言っていたのだとは夢にも思いませんでしたが。  だいたい聡美の初めての相手が東星一輝ではなく茶道部の連中だったと知って、最初は脅迫されて無理やり関係を持ったのだろうと思い込んでいました。でも実際は嘘こそたくさんあったものの、脅迫や強要はまったくありませんでした。簡単に落とされすぎです。聡美に浮気されて僕がどれだけ傷ついたことか。それを思い知るべきなのは彼女の方です。  〈痛い〉  聡美は僕との行為中にそう言ったことは一度もありません。彼女が痛みを感じないように僕が注意してそれをしてきたからだと思っていました。実際は違いました。僕の性器が小さかったこともあるでしょうが、一番は僕と結ばれるまでの数ヶ月のあいだに性交痛を一切感じなくなるくらいまで彼女の性器が連中によって使い古されてしまっていたからでした。  〈恥ずかしい〉  そういえばこう言われたこともありません。きっと僕と結ばれる前に彼女の性的羞恥心が完膚なきまでに破壊されていたせいです。そうとしか思えません。
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