今日も夫婦であるために

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 私たち夫婦は今年で結婚十一年目。共働きの子育て世帯だ。夫はフルタイム、私は週四日の九時から五時まで働いている。夫は家事をまったく手伝ってくれないわけじゃないけれど、7、3くらいの割合で、もちろん私が7やっている。  夫は3しかやらないのに、しょっちゅうゴミ出しを忘れたり、洗い物が深夜や朝になってしまうことがある。  そのたびに私はモヤモヤして、機嫌が悪くなってしまうのだ。  じゃあいっそう頼まなければいいのだろうけど、頼まなければ永遠に、死ぬまで私がすることになりそうだから、1パーセントでも、できるにかけている。  夕飯前にどっか行くってどういうことよ。  頭の隅にさっきのとぼけた旦那の姿を宿しながら、子供の宿題を見て、晩御飯の準備をした。  故意なのか偶然なのかはわからないけれど、私がちょうどご飯を作り終え、机に並べ、機嫌も少し治ったところ。完璧なタイミングで夫は帰宅した。  私の殺気を感じ取った長女は、洗濯を畳んでくれているというのに、あなたはどこで何をしていらしたのでしょうか。  あー、疲れた、ふー。と、わざと聞こえるようにつぶやいてくる夫を無視して、私と子供はテーブルを囲み、いただきます。をする。  「待って待って。俺も食べるーっ」  どうした?とツッコミたくなるような声を出す夫に眉をひそめながら、のそりと立ち上がりご飯を注ぎにいくと、夫が後ろから。  「ジャーン」  ニコニコ顔で、ケーキ屋さんの箱を差し出してきた。  「ご飯終わったら、みんなで食おうぜー」  「ケーキ!やったぁ!」  さっきまでおとなしかった子供たちが元気な声を出し、喜んで見にきた。  私はムスッとした顔で箱の中を覗く。やば、フルーツケーキ、美味しそう。  機嫌が直った私は今、付いているテレビ番組を見て爆笑している。  私って、めちゃくちゃ単純な人間なのかもしれない。  一応ダイエット中なんだけど、まあ、いいか。
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