恋する魔法少年

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『俺は…間違えた。僕は魔法の妖精!きらりちゃんダヨ!☆』 「いや無理あるって」 サングラスをかけた俺より背の高いイケメンの男は俺を見下ろしてきゃるん、とピースして見せる。 「…?どうしたのまろちゃん。なにかいるの?」 戸惑った様に俺に聞く真斗。 「は?だって目の前に男が…」 指差してそう言うが、真斗は頭にハテナを浮かべたままだ。 「誰もいないよ…?」 「えっ?」 『お前以外に俺は見えてないぞ。と言う事で場所を変えよう』 「!?」 彼はがしっと俺の腕を掴むと引っ張って走り出した。 「まっまろちゃん!?」 「しょ、しょんべん行ってくるぅうう!!」 止まることもできず咄嗟に出た言い訳はそれだった。 「なん、ちょ速っ、お、おっま」 俺が力尽きる頃に着いたのは、株式会社魔機。 ソファーに座らされて出されたお茶を一気に飲み干した。それでもかなり酸欠だ。 「は、はーっ、…ちょ、色々気になるんすけど、1つ言っていいすか」 『なんだ』 「服着てもらえねえっすか」 ずん、と一気に空気が重くなった気がする。 『お前な、ブリキュアとか見た事ねえのか。妖精みんな裸だろ』 「いやそれあのフォルムだからだろ」 俺はスマホを開いて真斗からの心配のメールに返信をしていた。 『んで、本題だが。』 結局服を着てくれない公然猥褻男は話し始める。 俺だって察しが悪いわけじゃない。周りから見えない魔法の妖精(仮)、びっくりするほど速い足…そして目の前に置いてある書類。 『今日から君も魔法少女だ!さっ、ここにハンコ押せ!』 「ふざけんな」 なにが魔法少女契約書だ馬鹿野郎。俺は男だしそんな力ねーよ。 「第一なんで俺なわけ…」 『あの時1番あの地区できゅんきゅんしてたから』 「いやうるさっ、いいだろ別にほっとけ」 それめちゃくちゃドキドキしてたのバレてんじゃん。本当最悪。魔法の妖精きも。 俺は足を組んでため息を吐く。 「でも、男よ?俺は」 『それ!その質問待ってたんだ!』 イケメンは嬉々として説明し出した。 『最近ジェンダーが魔法少女界隈でも言われる様になってきてさぁ…、他の社でも男の子入れようかって議題が出てるんだよ。だから一歩先に、うちが始めれば他の社もやりやすいかなって』 すごい真っ当なこと返されたけど納得はできない。 「魔法少女って会社あるの」 『当たり前、命はってくれてんだからお金払うぜ。まあうちは今魔法少女いないんだけどな?』 そう言ってぶりっ子ポーズをとった。 …多分、みんなこの男のせいで逃げてってる。
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