仮想夫婦、はじめました

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「私は、航のことが好きだ。だから、このまま夫婦でいたい」 しばしの沈黙。 「……ほんと、貴子さんてカッコいいよねえ。ボクが言いたいこと、先に言われちゃったよ」 航は優しく微笑んだ。 「ボクも貴子さんが好き。だから、ずっと夫婦でいたいって思ってる」 初めて好きになった人が、自分を好きになってくれる。 そんな奇跡みたいなことが、現実に起こるもんなんだな。 嬉しすぎて、どんどん顔が熱くなっていく。 ふと、真顔になった航が、私の頬に手を伸ばしてきた。 ちょっと待て。なんだこの雰囲気? ま、ままままさか……っ! 思わずギュッと目をつぶると、唇に何か柔らかな感触が、ちょっとだけ。 目を開けたら、航が照れくさそうに笑ってた。 「ちなみに、ボク、誰かとこんなことするの、初めてだったんだけど……貴子さんは?」 ……んなっ!? 航め、なんつー恥ずかしい質問を! 「わ……私も初めてだよ」 「よかった。……ボクとおんなじだ」 ふにゃりと笑った航の背中に、私はそっと腕をまわす。 「……だな」
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