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きっと今の私なら何を着ても似合う。
「今日中に決めておきます」
***
結婚式前夜。
私は自室のバルコニーで真っ暗な森を見つめていた。
昼でも夜でも暗い森。そして今はとても静か。
でも、いつ、勇者達がやってきて騒がしくなるか分からない。
明日、結婚式の最中に、なのかも知れないし。
ミマの話によると、誰かが森に入った時点で、常にその情報はすぐに入るから、常に準備する時間はあるらしいけど。
でも、勇者、即ち敵が来るということは、魔王のレイブラックどころか、妻になる私も殺されるかも知れない。
でも…
どっちにしろ"結婚式をやめる!花嫁になんてならない!"と騒いだ時点で、私はレイブラックに殺されてしまうんだもの。
もともと冷たい魔女と呼ばれていたのだから、悪役王妃になっても、ソレイユ自体は気にしないのかも知れないし、レイブラックを言葉でねじ伏せる度胸があったかも知れない。
かも知れない、かも知れないと言う言葉が私の中で渦巻く。
でも、明日は結婚式なのだ。
本当は、もっと時間をかけて2人で色々と決めるもののはず。というか、この世界ではこれが普通なの?
ドレスもネックレスやイヤリング、ブーケも、ミマや、他の召使いが沢山やってきて、あっという間に決まった。
ただ、披露宴という名のパーティーに誰が参加するか、全く覚えることが出来なかった。
上級の魔物、というくらいしか。
魔王ほどじゃなくても強いんだろうな。
とりあえず、もう一度名前をもう一度確認しておこうか。明日はミマが近くにいるとも限らないし。
バルコニーから部屋に入ると、ちょうどドアがノックされた。
ミマかな…ちょうど良かった。明日の出席する人を教えて貰わないと。
「どうぞ」
私は机に置かれた明日の結婚式の書類の束を手に取った。
そして、ドアから入ってきた人物を見て、驚く。
「レイブラック」
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