862人が本棚に入れています
本棚に追加
/280ページ
落ち着こう、と深呼吸をしていると、不意にレオンの手がシャツの上からセシルの胸を撫で始めた。
「レオン様……?」
「なんだ」
膨らんでもいないし柔らかくもない男のセシルの胸だ。触ったところで楽しいはずもないのに、レオンはセシルの顔を覗き込みながら、胸の突起を布越しに弄り始める。
「ッ……きょ、今日は……ゲストルームを用意して頂けるのかと、思っておりました」
前回は『夜遅くなった』という理由でレオンの部屋に泊まったが、今日は事情が異なる。明日に備えて前日から王城に滞在することは最初から決まっていたし、レオンの完璧な側近であるローランドにも報告しているのだ。
もちろん客室を用意しろ、と文句を言うわけではない。だが今回は目的が目的なので、セシルのためにしっかり部屋が用意されると思っていたのに。
「そんなわけないだろ。なんで同じ城の中にいて、別のベッドで眠らなきゃいけないんだ」
「な、っぇ……わぁっ!」
セシルの心を読んだのか、レオンがにやりと笑う。その直後、膝の下に腕を入れられてそのまま身体を持ち上げられた。
急に抱き上げられたことに驚いて文句を言おうとした。だが立ち上がったレオンの腕の中で暴れて床に落下したくはない。慌ててレオンの身体に掴まると、満足そうに微笑んだレオンがベッドの上に優しくセシルの身体を下ろしてくれた。
最初のコメントを投稿しよう!