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銀河の塵
涙が空から一粒落ちた
星のような涙が
いっそ消えてしまえたらいい
ちょうど銀河に浮かぶ塵みたく
誰にも見向きもされない
実在してもしなくても
構わないような物質になれたら
あなたは前に言った
起こること全てに
見えない意味があるのだと
痛みや悲しみという感情の波も
雨が降っては上がるように
ただ流れに任せていればいいと
あなたは夜空に光る月
命を燃やす全ての星々を
力強い輝きと熱で
照らし続けている
私は銀河の塵
あなたに手を伸ばす
それすらできずに
ただ一人泣いている
大それたものでなくていい
あなたにとって大切なものほど
失ったときに激しい痛みを伴うから
だから私は宇宙に浮かぶ
数えきれない粒子とともに
星の人生が始まって終わるのを
何億光年もかけて見つめている
この身が朽ちたら私は
美しい白鳥になろう
色鮮やかな花となり蝶となり
稲穂にかかる雨や虹となり
あなたを守ろう
あなたは明るい月
私のような塵も等しく
他の惑星と同じように
包み込んでいる
私はただの塵
暗闇の中
息を潜めながら
生きている
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