確かに恋だった。ー曜日女になれない女ー

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確かに恋だった。ー曜日女になれない女ー

バストはc以上。 ウエストは65以下。 痩せすぎもイヤ。 色気はあるに越したことはないけど、化粧が濃すぎるのはイヤ。 ああ、あとあんまり純潔すぎるのもイヤ。 あんたはあと何回その「イヤ」を言えばいいの? モデルを探しているという画家の栗原と大学卒業して以来再開したのは今から2年前。 当時、画家の個展のイベントの企画をしたかった私がアタリをつけたのが画壇ではそこそこ話題に上がるが、世間ではまだ無名だった栗原だった。 栗原は風景画を得意とする画家で、人物画は大学のサークルでも描いていないと言っていた。 そんな栗原がモデルが欲しいと言ったのは1年前。 個展が成功したことを良いことに私に栗原のマネジメントをしろと言ってきたのだ。 ちなみに私は小さいイベント広告会社のイベント企画部門で働いている。 個展の延長で、企画した栗原の絵画教室も成功し、奴はますます私に依存していき、今の“イヤイヤ期“に至る。 「なんで湊を辞めさせたのよっ」 「なんでってメンドくさいじゃん、JKって」 「あんたのご要望通り、スタイル抜群、そんなにあか抜けていない女の子よっ。せっかく南さんに紹介しもらったのに」 栗原のアトリエにはもう行くまいと決めていたのは一週間前。 こんなにすぐに来るとは思わなかった。 わざと足音を立て、全身で怒りを表す。 「そうだけどさ、手出した途端に好き好きモーション全開ってのは流石に3ヶ月保てば良い方じゃない?」 「良くない!いつもいつも私は売春の斡旋をしているつもりはないわっ」 「わかってるけど、なーんか恋してる女が描きたいっつーか」
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