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「は、外れたって!! アニキ、壊したんか!?」
「壊しとらん。取手が外れただけだ」
「それを壊したって言うんや!! うわぁ……これ、弁償せなアカンやん。いくらかかるんやろ……」
修繕費を心配しているマルムスに、寺鷹がゼィゼィと息を吐きながら、突っ込んだ。
「そ、そんなっ……ことよりっ!! これっ!!……出られ、るっぅんですか!?……も、私、げ、限界がっ!!」
「ちょ、あんた、大丈夫か? 顔が真っ赤になってるけど?」
「暑くぅっ……てぇぇ!! 出られないって思ったら、余計にぃぃん!!」
少しずつ。寺鷹の言葉使いが怪しくなってくる。寺鷹がその場に座り込んだ。
「寺鷹さん、横になりましょう。そこの椅子の上で……」
「す、すみません……」
ユウジが寺鷹を肩から担ぎ、長椅子の上に横たえる。
「ああ、やっぱ、開けるの無理みたいやな……。こら、フロントに連絡せなアカンわ」
マルムスがそう言いながら、緊急連絡用の内線受話器を取って、フロントに説明し始めた。
「……ええ。そうです……スチームサウナの。はいはい……。いや、ホンマにすいません。弁償はしますんで……。それで、ドアをなんとか開けてもらいたいのと、サウナを止めてもらいたいのと……」
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