あなたに逢いたい

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 とはいえ、有名になりはじめてからも心折れそうなことはたびたびある。  ちょっとの批判に傷ついてどん底の気持ちになる。作品を否定されたら自分を否定されているのと同じだと感じてしまう。いつも他人に弱さは見せないようにしてきたけど、だからって叩かれて平気なわけじゃない。  はじめは好きで始めたことだったし夢ではあったけど、注目されるほどにこわくなった。絵を描くのは好きだけど、夢が叶って幸せだけど、好きだけじゃいられなくなって。 「知浩さんがいなくなったら、私はこれからどうやって描いていったらいいの? 批判された時ひとりで立ち直るとか無理。これからも応援してほしい。知浩さんが助けてほしい時は私が力になるから。何にもできないかもしれないけど、話聞くくらいならできる! だから死ぬなんて言わないで……」 「ごめん、満さん」  中から声がした。今にも吹き消えそうな弱々しい声。
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