積もるは薄灰

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──灯りのない、終わりのない夜を歩き続けているのだと思った。絶え間なく降り積もる薄灰色の怨嗟と憐憫を道に敷き詰めて、その上を靴で擦って、ときどき座り込んでは歩んできた道を振り返る。歩むべき道を眺める。そうしてまた歩き出す、それの繰り返し。 空を見上げた。まあるい灯りが在るべきそこにはまっくらな静寂ばかりが広がっている、どうやら隠れん坊は彼女の勝ちのようだ。出ておいでと手招いたところでその顔を見せてくれはしない。足元の薄灰色を靴で擦って、俺はまた歩き出す。 ここは地の上、銀の河にはほどとおい。隠れた彼女が顔を出すまで、今しばらく歩き続けよう。 ここは地の上、宇宙の月にはほどとおい。薄灰色の道が彼女に照らされるまで、今しばらく歩き続けよう。 ここは地の上、理想郷にはほどとおい。 積もる怨嗟が、憐憫が、渇望が。ましろく清い光に焼かれるまで、今しばらく歩き続けよう。
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