理想と現実の2人

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理想と現実の2人

うちが普通でないと気づいたのは、小学校低学年のころだった。 別に、特に困っていることはないので気にしていなかった。だが、変であることは確かだ。 まず家族の人数が多い。 うちは、じいちゃん、ばあちゃん、父さん、母さん、私、弟のとっしーの6人家族。 きょうだいがたくさんいるから5人とか6人とかの家族、という人は時々いる。でも、じいちゃんとばあちゃんと暮らしている人と同じクラスになったことはあまりない。 しかも普通の家ではなんと、おじいさんとおばあさんは罵りあったりどつきあったりしないらしい。あれは衝撃だった。 罵りあったりどつきあっている、というとすごくバイオレンスな印象だがそんなことはない。私にとって、じいちゃんとばあちゃんのやり取りは日常の風景の1ページにすぎない。 2人のやりとりは、幼稚園で帰りのバスを待っている時に見ていたアニメに似ている。可愛くて賢いネズミと、おっちょこちょいでお人好しのネコの出てくる、アレだ。 じいちゃんとばあちゃんがしているのは追いかけっこではない。だけど2人は『なかよくけんか』している。 ばあちゃんに言うと怒るから秘密だけど。
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