28人が本棚に入れています
本棚に追加
/97ページ
始まりの日
「おぎゃあっおぎゃあっ」と産声が上がったその瞬間、彼の運命が決まった。
「蒼夜ーマッサージして」
「はいはい」
南蒼夜21歳。俺の兄。
俺、南朱里14歳。
7歳上の蒼夜は、俺をとてもとても可愛がっている。
自分でも言えちゃうくらい、とんでもなく俺のことが好きなブラコン男だ。
だから、蒼夜に頼めばなんでもやってくれる。
「あ〜極楽極楽」
「朱里くん、全然凝ってないけどね」
「俺は誰かさんと違ってピチピチだからな」
「うん、朱里くんの肌はいつも綺麗だ」
何でも褒めてくれるし、
「あ! そういや明日ジャ◯プの発売日だ! 予約すんの忘れてたああ」
チラッ。
「俺明日大学休みだし、朝イチで買ってくるよ」
「まじ?? さすが蒼夜だわあ」
頼めば何でも買ってくれる。
そんな兄の溺愛っぷりに気付いたのが俺が小学生の頃で、中学生に上がると悪いことを覚え始めた。
「蒼夜!! 宿題やって」
「んー、また?いいの?」
「いい! お願い!」
「は〜い」
蒼夜は、俺が頼むと嫌な顔ひとつせず承諾してくれる。
勉強関連は母さんにバレると俺が怒られるので厄介だが、バレた後も内緒でやってくれるのが蒼夜という男。
ーーしかし、人生そう上手くはいかない。
最初のコメントを投稿しよう!