始まりの日

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始まりの日

 「おぎゃあっおぎゃあっ」と産声が上がったその瞬間、彼の運命が決まった。 「蒼夜ーマッサージして」 「はいはい」  南蒼夜(みなみそうや)21歳。俺の兄。  俺、南朱里(しゅり)14歳。  7歳上の蒼夜は、俺をとてもとても可愛がっている。  自分でも言えちゃうくらい、とんでもなく俺のことが好きなブラコン男だ。  だから、蒼夜に頼めばなんでもやってくれる。 「あ〜極楽極楽」 「朱里くん、全然凝ってないけどね」 「俺は誰かさんと違ってピチピチだからな」 「うん、朱里くんの肌はいつも綺麗だ」  何でも褒めてくれるし、 「あ! そういや明日ジャ◯プの発売日だ! 予約すんの忘れてたああ」  チラッ。 「俺明日大学休みだし、朝イチで買ってくるよ」 「まじ?? さすが蒼夜だわあ」  頼めば何でも買ってくれる。  そんな兄の溺愛っぷりに気付いたのが俺が小学生の頃で、中学生に上がると悪いことを覚え始めた。 「蒼夜!! 宿題やって」 「んー、また?いいの?」 「いい! お願い!」 「は〜い」  蒼夜は、俺が頼むと嫌な顔ひとつせず承諾してくれる。  勉強関連は母さんにバレると俺が怒られるので厄介だが、バレた後も内緒でやってくれるのが蒼夜という男。  ーーしかし、人生そう上手くはいかない。
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