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「俺……晴菜と『夫婦ノート』交換するのやめてからも、時々書いてたんだ。でもさ、昨日ノート書いててさ……いくらノートに書いても言葉にしなきゃ、ちゃんと晴菜に伝わらないなって。そんなこと10年経ってようやく気づいた」
「ううん。私こそいつも大事にしてくれてたのに、陽太のこと責めたり八つ当たりばっかりして本当にごめんね……陽太、こんな私だけど……これからも一緒にいてくれる?」
陽太は驚いた様子で少しだけ宙をみて頭を掻いた。
「まいったな、バレバレだった?」
「嬉しかったよ」
ちゃんと私も言葉にしたら、陽太がふっと笑った。
「晴菜……」
陽太は真面目な顔をすると私の目を真っ直ぐに見つめた。
「これからは俺も言葉にするよう努力するからさ……俺こそ、これからもずっと一緒にいてくれる?」
陽太の恥ずかしそうな顔に、私まで顔が熱くなる。
それでも心は幸福で満たされていく。
「はい、こんな私で良かったら」
私はとびきりの笑顔で返事をすると、花束ごと陽太の背中をぎゅっと抱きしめた。
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