何度でも

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 「隆君のバカっ!!」  バチーン!!   という平手打ちの音が耳元で響いた。  それと同時に右頬に走る衝撃。首の柔軟性ではいなしきれず、脳が揺れるぐにゃりとした感覚。  膝の脱力感と体に生まれる浮遊感で、自分が崩れ落ちたことによるものだと理解できた。    美玖ちゃんにビンタはいつもながら貫通力が凄まじい。  ゆがむ視界の気持ち悪さと口に広がる鉄の味に耐えながら悩む。  この威力、単なるビンタと片付けていいのか。  最早これは掌底による立派な打撃攻撃ではないのか。 「いや、だから……違うって」 「何が違うって言うのよ、私見たんだからね!! 浮気者!!」 「だからあれは……」  妹、と言いたかったが口が上手く動かない。  徐々にまともになる視界の向こう側で、美玖ちゃんが部屋を飛び出していくのが見えた。
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