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走れるようになるまで、つまりダメージの回復までにしばしの時間を要したせいもあるだろう。
僕がアパートを出たとき、美玖ちゃんの背中は少し遠ざかっていた。
それでも急いで後を追う。誤解を解かねばならない。このまま喧嘩別れなんて嫌だ。
「美玖ちゃん待って!!」
「ついてこないでよ!!」
走りながら後ろを振り返り、僕の姿を見た美玖ちゃんはそう叫んでスピードを上げた。
だが、走力に関しては僕に分がある。
中学時代は韋駄天の異名を運動会で付けられた走力だ。
「美玖ちゃん!!」
「来ないでってば!!」
そう言いながら美玖ちゃんはスピードを上げ、故意かあるいは事故なのか、ともかく車道へと飛び出してしまった。
けたたましく響き渡るクラクション。
驚いて固まる美玖ちゃんを守らんと、僕は足に力を籠め美玖ちゃんめがけて車道へと飛び出した。
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