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窓からあの人を探す
最近の日課。窓からあの人を探すこと。
「当分帰って来ないの知ってるのに馬鹿みたい…。」
諦めてベッドの脇に座り込む。壁のカレンダーには、初の字と丸が書き込まれている。それを見て思い出す。
「明日から新しい職場か。今度の職場、居心地良いといいな。」
契約終了で前の職場をさよならしてから、次の派遣先が決まるまで今回は3ヶ月も掛かってしまった。
間が開くのはよくあることだけど、今回は、ちょっとテンションが低い。
「あ~ぁ。エネルギー不足!!」
当分帰って来ないあいつのことを考えるだけで、胸がキュンとして切なくなる。顔を見たくてたまらなくなる。でも、会えないし、連絡をこちらからすることも無理なのだ。あいつの仕事柄、それは仕方のないことなのだけれど、自分のすべてが自由な、この3ヶ月に一度も会えてないことが悲しいし、文句のひとつも言えないことが腹立たしい。
「何であいつのこと、好きになっちゃったんだろう。」
膝を抱えて溜め息をついた。
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