第1章

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「そもそもな、アルス嬢。人には似合う似合わないがあるのは当然だ」 「……はい」 「だから、絶対に自分に似合うドレスはある」  どうして、ライナー先輩はそこまで言ってくれるのだろうか。  きょとんとしつつそう思っていれば、彼は笑っていた。 「それに、色気ゼロっていう言葉なんて気にするな。……俺は、アルス嬢のこと魅力的だって思ってるからさ」 「……うぅ」  お世辞だとしても、今のライナー先輩の言葉は胸に感動を芽生えさせてしまう。  なんだか無性に恥ずかしくて、両手で顔を覆った。 「なに? 照れてるの?」 「照れてませんっ!」  そのままぶんぶんと首を横に振って、先輩の言葉を否定する。……説得力、なさそうだけれど。 「まぁ、そういうことだから。別にパーティーに参加したところで、取って食われるわけじゃないんだから」 「……はい」 「命ありゃあ、なんとでもなるさ」  でも、そのたとえはどうなんだろうか。  そんなことを思って、私は少し笑ってしまった。 「お、その調子その調子。アルス嬢は笑ったらめちゃくちゃ可愛いんだから。……な?」  手をどけた私の顔を覗き込んでくる先輩の表情は、とてもいい笑顔だった。  ……柄にもなく、顔に熱が溜まるのがわかった。 「わ、たし、少し……ほんの少しだけ、頑張ってみようかな……って」 「うん」  とても単純だと思う。
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