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穢れる ―四月―
親から頼まれたお裾分けがどうだこうだとか、正直、面倒で。
適当に置いていけと言うオレを無視して、家のなかに上がりこんできた。
「ナオくん、ビールなんて呑んでるの?」
いたずらを見つけたように笑いながら西崎は言って、なま物だから冷蔵庫に閉まっておくね~などと、これまた勝手に、何やらやってくれている。
昔から、図々しいというか押しが強いというか、悪いヤツじゃないけど、たまにイラッとさせられることがあった。
……今日も、そんな感じだった。
「──用が済んだなら、帰れよ」
「えぇ~? ナオくん最近、冷たいよね。
……あたしもビール、もらっていい?」
最近も何も、オレとお前が必要以上に仲良かったことがあったのかよ、と、内心で突っ込んでやる。
テーブルの上の缶を取ろうとする西崎の腕を、強引につかんだ。
「……ふざけんな、帰れ」
それじゃなくても先輩とのやり取りが頭にこびりついて、苛立ちが募っていたのに。
人の都合を全く考えない無神経な行動が、オレの怒りをさらに増幅させた。
「やだ、なんかナオくん、コワイ。ちょっとくらい、いいでしょ?」
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