第6章 サインは出してません!

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この人物と縁を結ぶなど天地がひっくり返ってもない。 一刻も早くこの場を、この地を離れよう! 車を睨みつけ、サッと背を向けて駅ビルの入り口に足早に入った。 息切ってエスカレーターを駆け上がり、発車寸前の新幹線に乗り込んだ。 シートに倒れ込むように座ると額に汗が滲んできた。 次第にスピードを上げていく新幹線の速さに安堵した。 撥ねつけることも、『やめて!』と拒む言葉すら出せなかった。 そんな自分が情けなくて涙が出てきた。 キッパリと拒絶しなかったことが悔しくて自己嫌悪に陥った。 そんな雰囲気でもないのに理解に苦しむ。
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